蜜 柑(みかん)

シスター

2009年11月17日 16:50

 

 おいしそうなみかんですね。農家の方が届けてくださいました。

 今、ここ三ヶ日 みかんの里は、山を彩って、鮮やかな

 オレンジ色のみかんが映えています。

 芥川龍之介の「蜜柑」を思い出します。
 
  

  ”暮色を帯びた町はずれの踏切と、小鳥のように

   声を挙げた三人の子供たちと、そうして、その上に

   乱舞する鮮やかな蜜柑の色とーーーすべては

   汽車の窓の外に瞬く暇もなく通り過ぎた”
           
           
         「蜜柑」芥川龍之介

  鮮やかな初冬の実は、ここの里の人々の1年の

  労作のみのりであり、温かいみかんの里の

  心でしょうか。


    ”神のなさることは、すべて時に適っている。”

        (旧約聖書 伝道の書3.10)
  

  
  あらすじ

  「ある曇った冬の暮、物憂い気持ちで、二等客車の隅に

  腰をおろしていた「私」の前に三等の赤切符を握って

  大きな風呂敷包みを持ったの小娘が入ってきた。

  小娘はしきりに窓を開けようとしていたが、汽車がトンネルに

  入ったとたん窓は開いてトンネル内の煤がもうもうと車内に

  入ってきた。「私」は烈しくせき込んだ。トンネルを出て貧しい

  町はずれの踏切にさしかかった時、踏切の向こうに

  3人の男の子が目白押しに並び、汽車に向かって一斉に

  手を挙げ歓声を挙げた。その瞬間、例の小娘は身を乗り出す

  ようにしてしもやけの手をのばして左右に振ったかと思うと、

  たちまち心を躍らすばかり暖かな日の色に染まっている

  蜜柑が5つ、6つ汽車を見送っている子どもたちの上に

  ふってきた。「私」はすべてを了解し、言いようのない疲労と

  倦怠をわずかに忘れることができた。」


    シスター マリア クレメンス


  

 

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